Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(七)平次女難
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(七)平次女難 (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 152.696 caratteri · 310 schermate
彦兵衛は少し中っ腹でした。
「彦兵衛、俺を忘れはしまいな」
「…………」
「平次だ、――久し振りだったな」
「あッ、銭形の親分」
わずかに残る月光に透かして、左官の彦兵衛は仰天しました。
かつては浅草で左官をしていた彦兵衛、飲む、打つの道楽が嵩じて、一時は巾着切りの仲間にまで身を落しましたが、今から五年前、別れていた女房の末期の諫めに、翻然として本心に立ち還り、娘のお富を引取って、神田で堅人に生れ変った経緯――平次は何もかも知っていたのです。
お富は美しく清らかに生い立ちました。親父に巾着切りの古疵があるとも知らぬ清純さ、それを見るのを唯一の楽しみに、彦兵衛は本当に真っ黒になって働き続けたのです。
嫁入前の一と修業のつもりで、増屋の女隠居付に奉公させたのは一年前、それは娘を仕込む術を知らない、男親の淋しさでしたが、彦兵衛はそれも辛抱して、何の邪念もなく、勤め上げて帰って来るお富を待っていたのでした。
それが、お店の養子と勝手な事をして、三百八十両の大金を持逃げしたと番頭に聞かされ、罪の遺伝の恐ろしさに、彦兵衛は打ちひしがれながら、寝もやらず待っていると、顔見知りの銭形の平次に送られて、怪我もなく立ち戻って来たのです。