Classici giapponesi con furigana
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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十五)茶碗割り
野村 胡堂
Leggi 銭形平次捕物控(十五)茶碗割り (ぜにがたへいじとりものひかえ) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 109.804 caratteri · 225 schermate
成瀬屋が没落したとき、少しの縁故をたどって、さる大名屋敷に奉公に出ておりましたが、五年前私が引取りました。先代への義理でございます。精いっぱいの養生はさせておりますが、何ぶんあの通りの病気で、そのうえ遠慮深い性で、思うようになりません。町内の本道(内科医)は病気は大した事はない、気の持ちようでは丈夫な身体になれると申しますが、本人は気が挫けて、寝たり起きたりでは、弱る一方でございます」
総右衛門の言葉には少しの暗い影もありません。
平次も八五郎も留吉も、突っ放されたような心持で、庭先に顔をあつめました。ここからは小石川牛込一帯の低地を眺めて、なかなかの景色ですが、そんなものはもとより眼にも入らず、巨盗蝙蝠冠兵衛の亡霊だけが、三人の胸の中に、次第に現実味を帯びて生長して行くのです。
「親分、あの娘が変じゃありませんか」
「誰だ」
「お町とかいう、病人の――」
「…………」
「親分は脈なんかみたでしょう、掌に灰が付いてやしませんか」
「大笑いさ、あの娘の掌に灰が付いていさえすれば、物事は一ぺんに片付くよ。ところがそんなものはないよ、嘗めたように綺麗だ、右と左と念入りに見たんだから間違いはない」