Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

併しこんな不安の状態で何時までも続いていたら、結局自分は根負がして了うに決っている。先刻から余ほど時間も経っているだろうのに、救いの人々はまだ見えぬ。一旦は勝誇った市郎も漸次に心細くなって来た。この上は依頼にもならぬ救援の手を待ってはいられぬ、自分一人の力で此の危険の地を脱出するより他はない。

「早く然う決心すれば可かった。」

市郎は痛む足を踏み締めて、例の毛綱を再び我が胴に緊と結び付け、綱を力に精一杯伸び上って、傍の高い岩に飛び付こうとしたが、何うも足が自由に働かぬ。彼は飛び損じて又墜ちた。さらでも痛い足を更に痛めた。

「到底不可い。」と、市郎は失望の声を揚げて倒れた。

この時、遠い頭の上で例の金色の光が淡く閃いた。市郎は眼を定めて熟視ると、穴の入口と覚しき所で何者か火を照しているらしく、其光に映じて例の金色が見えつ隠れつ漂うのであった。

「扨は救いの人が来たか。」

市郎は我を忘れて蹶ね起きた。精一ぱいの声を振絞って、「助けて呉れ。角川市郎はここにいるぞ。」

声はあなたまで響いたらしい、上でも之に応じて、「おうい。」と、答えた。

市郎は重ねて呼んだ、上でも再び答えた。