Classici giapponesi con furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate
(十一)
こんな話に時の移るのを忘れている中に、庭に囀ずる小禽の声も止んで、冬の日影は余ほど薄くなった。
「もうお暇為ようか。」
安行と市郎は暇乞いして、吉岡の家を出た。
(十一)
飛騨といふ詞は襞を意味して、一国の中に山多く、さながら衣に襞多きが如くに見ゆる所から、昔の人が此国の名を斯く呼んだのである。随って飛騨と云えば直に山を聯想するまでに、一国到る処に山を見ざるは無い。この物語の中心となっている町も村も、殆ど三方は剣の如き山々に囲れていた。
お杉が棲んでいる虎ヶ窟というのは、角川家のある町と吉岡家の居村とを境する低い丘から、約一里の山奥にあった。一里といえば人里から左のみ遠からぬ処であるにも拘らず、ここは殆ど通路の無いほどに岩石嶮しく峭り立っているのと、昔から此辺は魔所と唱えられているのとで、猟夫も樵夫も滅多に通わなかった。苔蒸す窟は無論天然のものであったが、幾分か人工を加えて其入口を切拓いたらしくも見える。奥は真暗で其深さは判らぬ。背後は屏風のような絶壁で、右の方には大なる谷が繞っていた。
窟の入口には薄黒い獣の生皮を敷いて、Xという字のように組まれた枯木と生木とが、紅い炎焔や白い烟を噴いていた。