Classici giapponesi con furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate
(六十二)
「畜生……畜生……。」と、お葉は罵りながら逃げ廻った。
(六十二)
追手の人々も同く村境まで走って来たが、折柄の烈しい吹雪に隔てられて、互に離れ離れになって了った。其中でも忠一は勇気を鼓して直驀地に駈けた。が、咫尺も弁ぜざる冥濛の雪には彼も少しく辟易して、逃るとも無しに彼の空屋の軒前へ転げ込んだ。
雪明と一口に云うものの、白い雪も斯う一面に烈しく降って来ては雨と変らぬまでに天地は暗いのである。況て鎖されたる家の内は殆ど真の闇であったが、彼は危くも吹き倒されんとする雪風を凌ぐ為に、兎も角も一歩踏み込もうとする途端に、内には怪しい唸声が断続に聞えた。
彼は俄に立止って声する方を透し視たが、生憎に暗いので正体は判らぬ。更に耳を澄して窺うと、声は一人でない、尠くも二人以上の人が倒れて苦んでいるらしい。扨はここにも何か椿事が起っているに相違ないと、忠一も驚いて身構えしたが、燐寸を持たぬ彼は暗を照すべき便宜もないので、抜足しながら徐々と探り寄ると、彼は忽ち或物に蹉いた。跪いて探って見ると、之は女らしい、長い髪を乱して土に曳いて、其頬から喉の辺には生温かい血が流れていた。