Classici giapponesi con furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate
(六十三)
「おうい、おうい。」
火の光は漸次に近いた。それは全身に雪を浴びたる塚田巡査の角燈であった。
「やあ。」
「やあ。」
双方が顔を見合せて叫んだ。
「あなたはお早い。既うここへ来ていたのですか。」と、巡査は雪を払いながら軒下に立った。
「まあ、早く燈火を見せて下さい。ここに大勢の人間が倒れているらしいんです。」
巡査は角燈を翳して内へ入った。
(六十三)
今や角燈の火に照し出されたる、此の暗い空屋の内の光景は惨憺、実に眼も当てられぬものであった。先ず入口に黒髪を振乱して横わっているのは彼のお葉で、彼女は胸や肩や喉に数ヶ所の重傷を負っていた。続いて眼に触れたのは醜怪なる三人の屍体で、一人は眼を貫かれた上に更に胸を貫かれ、一人は脳天を深く刺れて、荒莚の片端を握んだまま仰反っていた。最後の一人は左の手に小刀を持って、我と我が胸に突き立てていた。
以上四人の浅ましさ屍体の他に、朱に染みたる重太郎も亦倒れていたのは意外であった。其傍らには、彼の運命を象徴するような紅い椿の花が、地に落ちて砕けていた。
「もう是だけかな。」
巡査は更に四辺を見廻すと、鮮血の臭の漲る家の隅に、猶一人の若い女が倒れていた。