Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

(四十)

他の人々は息を嚥んで其行動に注目していた。

(四十)

塚田巡査が穴を降るに就ては、市郎ほどの危険と困難とを感じなかった。上に立つ大勢の人々は綱を操って彼の行動を助け、且つ幾多の松明を振翳して、能う限りの光明を彼の行手に与えて居た。

巡査も亦大胆であった。一条の綱を力として猶予なくするすると降りて行くと、彼は中腹の稍扁平い岩石の上に立って、先ず彼の安行の死骸を発見した。驚いて其の手足を検めると、既に数時間の前に縡切れたらしい、老人の肉も血も全く冷えていた。

父が此の如き有様であるとすれば、其子の安否も甚だ心許ないものである。巡査は念の為に市郎の名を呼んだ。が、声は四方の岩に反響するばかりで、底には何の返答もなかった。十分前までは頻に救助を呼んでいた市郎が、俄に黙って了ったのは不可思議である。これも若や何等かの禍害を蒙ったのではあるまいかと、巡査は胸を騒がした。

此上は一刻も早く底の底まで探らねばならぬ。巡査は安行の死骸を見捨てて、更に底深く降りて行くと、途中には所々に突出した大小の岩が聳えて、天然か人工か知らず、其の岩の上には横に低い穴が開かれている。