Classici giapponesi con furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate
けれども、先を急ぐ巡査は其穴の奥を一々検査する暇は無かった。彼は唯真直に降りて行った。
やがて底近く来たと思う頃に、滔々たる水の音が凄まじく聞えた。松明を振照して視たが水らしいものは見えぬ、恐く地の底を流れるのであろう、岩に激するような音が宛がら雷のように響いた。更に二間ばかり降りると、自分の縋っている綱の端には何物か縛られているのを発見した。巡査は息も吐かずに急いで降りると、それは人であった、彼の市郎であった。
巡査は今や幾十尺の底に達したのである。先其の綱を解いて市郎を抱え起すと、彼も所々に負傷して、脈は既に止っていた。が、これは確に血温が有る。巡査は少しく安堵の眉を開いて、取敢ず彼の綱を強く曳くと、上では直におうと答えた。
この時、巡査の足下を距る一間ばかりの所で、怪しい唸声が聞えた。傷いた野獣が喘ぐようである。松明をそなたへ向けて窺うと、岩を枕に唸っているのは、半面血塗れの怪しい者であった。人か猿か判らぬ。「これが所謂山※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)だな。」と、巡査も悟った。で、猶能く其正体を見届ける為に、其傍らへ一歩進み寄ろうとする時、頭の上から大きな石が突然転げ墜ちて来た。