Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

「トム、トム……。」と、少しく声を暴くして呼ぶと、犬は初めて心付いたらしく、食物を捨てて駈け出そうとしたが、早くも背後からお葉に抱かれて了った。

「この犬は良い犬ですね。」

「無闇に吠えて困るんです。」

「でも、温良いわ。妾、此犬が大好よ。」

「トム、トム……。」と、市郎は又呼んだ。犬は尾を掉って行こうとしたが、お葉は相変らず緊乎抱いていた。

「トム、トム……。」

市郎は重ねて呼びながら、犬の頸に手をかけると、お葉は傍へ寄って来て、低声で少しく怨恨を含んだように、

「あなた、あの時限り被入って下さらないのね。」

市郎は黙っていた。

「後生ですから、あなた最う一度来て下さいな。え、お厭ですか。え、どうしても厭……。来て下さらないの。」

「厭という事も無いんだが……。」と、市郎は返事に困って、思わず父の方を顧ると、安行は小半町ばかり先の木蔭に立って、此方を凝と見詰めているので、市郎は何とも無しに赤面した。

「兎にかく又来ますよ。」

詞短かに云い捨てて、無理に犬を牽き出すと、お葉は漸く手を放したが、今度は市郎の腕に手をかけて、

「あなた、必然ですか。可ござんすか。欺すと山※(「けものへん+操のつくり」