Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

(二十三)

「お前さん、重太郎が忌なのかえ。」

問わずとも判った話だ。お葉は矢はり黙っていた。

「何故、忌なのだえ。」

お葉は相変らず俯向いていた。

「はは、判った。お前は彼の市郎に惚れているのだろう。無効だからお止しよ。先方じゃアお前を嫌い抜いているのだから……。」

「嫌われていても可ござんすよ。」と、お葉は屹と顔を上げた。

「嫌われても思いを通すというのかえ。それは道理だ。が、お前が市郎に嫌われても、自分の思いを通そうと云うのと同じ訳で、重太郎も幾らお前に嫌われていても、必然自分の思いを通すよ。然う思ってお在。」

お杉は嫣然笑っていた。

逃げようと思っても逃げられる筈は無い。傍には重太郎が獣のような眼を晃らして見張っている。窟の奥には山※(「けものへん+操のつくり」、第4水準2-80-51)らしい怪物も居る。路は人間も通わぬ難所である。こんな処へ導かれて来て、こんな怪物共に取囲れたからは、自分の智恵や力で自分の運命を左右する訳には行かぬ。運を天に任すと云うのは、洵に今のお葉の身の上であった。

(二十三)

窟の中から怪しい者の影が又現れた。加之も二つ、うす暗い奥から此方を覗いていたが、やがて入口の方へちょこちょこ駈出して来た。