Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひだのかいだん

飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選

岡本 綺堂

Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate

Aozora Bunko

(三十)

岩は殆ど峭立ったように嶮しいが、所々には足がかりとなるべき突出の瘤があるので、それを力に探りながら徐々と進んだ。

降るに従って、深い穴の底はいよいよ暗かった。彼が僅に頼みとするのは、鬼火のように燃ゆる一挺の蝋燭の他は無かった。

(三十)

市郎は半夢中であるから、約何のくらい降りて進んだか判らぬ。兎にかく手がかり足がかりの岩を辿って、下へ下へと危くも降りてゆくと、暗い中から蝙蝠のようなものがひらりと飛んで来て、市郎の横面を礑と打った。あッと顔を背ける機に、冷い空気の煽りを受けて、頼みの蝋燭はふッと消えた。

「あ、失敗った!」と、市郎は思わず舌打した。が、現在の位置にあって再び蝋燭を点けると云うことは、殆ど不可能であった。彼は左の手に蝋燭を持ち、右の手に岩を抱いて、辛くも其身を支えているのであるから、到底燐寸を擦るべき余裕は無い。迂濶に手を放せば、彼は底知れぬ暗黒に転げ墜ちて、お杉と同じ運命を追わねばならぬ。さりとて此のままの暗黒では仕方が無い。

彼は霎時途方に暮れたが、此の場合兎も角も進んで行くより他は無いので、市郎は探りながらに徐に降りた。それから二三間ほど進んだかとも思う時に、彼の左の足は硬い物に触れた。