Classici giapponesi con furigana
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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Leggi 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 130.271 caratteri · 263 schermate
御覧なせえまし、唯た三四間の所でさあ。」
蝋燭を照して視ると、底は近い。獣の牙のような大小の岩が聳えていた。
「今、人が墜ちたんだが……。」と、市郎は伸上って底を覗くと、男は首肯いた。
「もう少し前に、上から墜ちて来た者がありましたよ。かと思っていたが、然うじゃア無かったか知ら。」
男は先に立って岩を降りた。市郎も続いて降りた。やがてどん底まで辿り着くと、果して其処にお杉の死骸が倒れている。彼女は牙のような岩と岩との間に挟まれて、さながら巨大なる野獣に咬まれたような形で死んでいた。
男は少しく眉を顰めて、お杉の死顔を凝と眺めていた。市郎は念の為に脈を取って見たが、これも手当を施すべき依頼は切れていた。
「一体、この女は何うして墜ちたんだろう。旦那は此女を御存知ですか。」
善悪判らぬ此男に対して、市郎は真を語らなかった。
「さあ、僕も知らない。僕は唯この窟を探険に来たのだ。」
「じゃア、書生さんだね。」
「まあ、然うさ。」
こんなことを云っている中に、市郎は漸次に足の疼痛を感じた。今までは気が張っていたので、何も彼も殆ど夢中であったが、曩に岩の上へ転げ墜ちた時に彼は左の膝を痛めた。