Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こころ

こころ

夏目 漱石

Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate

Aozora Bunko

そのくせ話し始める時は、危篤の病人とは思われないほど、強い声を出した。我々は固より不断以上に調子を張り上げて、耳元へ口を寄せるようにしなければならなかった。

「頭を冷やすと好い心持ですか」

「うん」

私は看護婦を相手に、父の水枕を取り更えて、それから新しい氷を入れた氷嚢を頭の上へ載せた。がさがさに割られて尖り切った氷の破片が、嚢の中で落ちつく間、私は父の禿げ上った額の外でそれを柔らかに抑えていた。その時兄が廊下伝いにはいって来て、一通の郵便を無言のまま私の手に渡した。空いた方の左手を出して、その郵便を受け取った私はすぐ不審を起した。

それは普通の手紙に比べるとよほど目方の重いものであった。並の状袋にも入れてなかった。また並の状袋に入れられべき分量でもなかった。半紙で包んで、封じ目を鄭寧に糊で貼り付けてあった。私はそれを兄の手から受け取った時、すぐその書留である事に気が付いた。裏を返して見るとそこに先生の名がつつしんだ字で書いてあった。手の放せない私は、すぐ封を切る訳に行かないので、ちょっとそれを懐に差し込んだ。

十七

その日は病人の出来がことに悪いように見えた。