Classici giapponesi con furigana
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こころ
こころ
Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate
「大病は好いが、ちょっとした風邪などはかえって厭なものですね」といった先生は、苦笑しながら私の顔を見た。
先生は病気という病気をした事のない人であった。先生の言葉を聞いた私は笑いたくなった。
「私は風邪ぐらいなら我慢しますが、それ以上の病気は真平です。先生だって同じ事でしょう。試みにやってご覧になるとよく解ります」
「そうかね。私は病気になるくらいなら、死病に罹りたいと思ってる」
私は先生のいう事に格別注意を払わなかった。すぐ母の手紙の話をして、金の無心を申し出た。
「そりゃ困るでしょう。そのくらいなら今手元にあるはずだから持って行きたまえ」
先生は奥さんを呼んで、必要の金額を私の前に並べさせてくれた。それを奥の茶箪笥か何かの抽出から出して来た奥さんは、白い半紙の上へ鄭寧に重ねて、「そりゃご心配ですね」といった。
「何遍も卒倒したんですか」と先生が聞いた。
「手紙には何とも書いてありませんが。――そんなに何度も引ッ繰り返るものですか」
「ええ」
先生の奥さんの母親という人も私の父と同じ病気で亡くなったのだという事が始めて私に解った。
「どうせむずかしいんでしょう」