Classici giapponesi con furigana
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こころ
こころ
Leggi こころ di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 160.915 caratteri · 322 schermate
それから、君は今、君の親戚なぞの中に、これといって、悪い人間はいないようだといいましたね。しかし悪い人間という一種の人間が世の中にあると君は思っているんですか。そんな鋳型に入れたような悪人は世の中にあるはずがありませんよ。平生はみんな善人なんです。少なくともみんな普通の人間なんです。それが、いざという間際に、急に悪人に変るんだから恐ろしいのです。だから油断ができないんです」
先生のいう事は、ここで切れる様子もなかった。私はまたここで何かいおうとした。すると後ろの方で犬が急に吠え出した。先生も私も驚いて後ろを振り返った。
縁台の横から後部へ掛けて植え付けてある杉苗の傍に、熊笹が三坪ほど地を隠すように茂って生えていた。犬はその顔と背を熊笹の上に現わして、盛んに吠え立てた。そこへ十ぐらいの小供が馳けて来て犬を叱り付けた。小供は徽章の着いた黒い帽子を被ったまま先生の前へ廻って礼をした。
「叔父さん、はいって来る時、家に誰もいなかったかい」と聞いた。
「誰もいなかったよ」
「姉さんやおっかさんが勝手の方にいたのに」
「そうか、いたのかい」
「ああ。叔父さん、今日はって、断ってはいって来ると好かったのに」