Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
運びもはかどるのであった。
本所を出て、あれから浅草へ歩を向ける。
まばらな人家のあいだに空き地がひろがって、うす紅の海棠は醒めやらぬ暁夢を蔵して真昼の影をむらさきに織りなし、その下のたんぽぽの花は、あるいはほうけあるは永日ののどかさを友禅のごと点々といろどっているけしき……いつの間にやら、春はどこにでも来ていた。
南の風。
そこにもここにも、さくら、さくら、さくら――。
気がついてみると、今日は吉野の花会式である。
なつかしい心もち。
そういったものがひたひたとおさよの身内に押し寄せて来て、彼女は、しばし呆然と道の端に立ちどまっていた。
どこへ行こう?……と考える。
栄三郎さんの瓦町の家は、じぶんも一度、刀を掘り出し持って行ったことがあるから知っているが、のっけからこの離縁ばなしをあそこへ持ちこんでゆくのはおもしろくない。
第一、いまお艶はどこで何をしているのか、それはわからないにしても、瓦町にいないことだけは人の口に聞いて確実なのだから……。
はて! 金と引き換えに証文まで書き、こうして殿様に受け合って出て来たのはいいが、いったいまずどこへ行って、誰に相談したものであろう?