Classici giapponesi con furigana
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たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Leggi 丹下左膳 (たんげさぜん) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 340.187 caratteri · 666 schermate
では伊織さん確かにお渡ししましたぜ!」
声と、乾坤双刀とを弥生に残して、男は、もう森の中の小径を走り去っていた。
はっとわれに返った弥生、眼を凝らして見るまでもなく、いま駕籠かきの大男が残していった乾坤二剣夜泣きの刀が、わが手にある!
此剣のために、父鉄斎とは幽明さかいを異にし、恋人栄三郎を巷に失った不離剣……去年の秋以来眼を触れたこともなく、今また幾年月その包蔵していた水火の割り文を柄の裡より吐きさったにかかわらず、その間、何事もなかったかのように、弥生の白い手に抱きあげられている一番の珍剣稀刀――。
思えば、乱麻の悪夢であった。
もつまじきは因縁の名刀……しみじみとそんな気がこみあげてきて、弥生がボンヤリとまず夜泣きの両剣を腰間に帯してみようとした――その一刹那!
忘れていた山淑の豆太郎……。
土壇場へじゃまがはいって、手のうちの玉をおとした思いのところへ、見ると、弥生がもとより詳しいことはしらないが、なんでもみなが命がけの大さわぎをしてきたその本尊のふたつの刀を、ここに入手したらしいようすなので、かなわぬ恋の意趣返しに、ひとつ横あいからふんだくってやれ……どうせこの家へは、もう誰も帰ってはこねえのだ。