Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate

Aozora Bunko

レントゲンを三度もかけたつておつしやつてましたわ」

「そいつは厄介だな。以前から、胸も弱いんだ。今度会つたら、言つといてください、ちやんと養生しなけれや、ダメだつて……。病院には、誰か家のものが附添いに来てるんでしようね」

「いゝえ、病院で雇つた看護婦さんだけのようでしたわ。毎日、退屈でしようがないんですつて……。話しに来い、話しに来いつて、おつしやるんです。ご気分はちつとも、なんでもないらしいですわ」

「僕も、そのうち、なんとかして見舞に行きます。行つてよければ……」

「あら、いゝどころじやありませんわ。きつと、およろこびになるわ」

「その前に、僕が最近読んで面白かつた本を、あなたにお願いして、持つてつていたゞくかな。お見舞のしるしだつて、言つてください」

彼は、書棚から、近刊の翻訳小説を二冊引きぬいた。バルザックの「谷間の百合」上下二巻である。扉に、ちよつと走り書きで、何か一筆と思つたのだけれども、とつさにいゝ文句が思い浮ばない。

「わたしも、まだ、これ、読んでませんの。奥さまのお読みになつた後、拝借してもいゝかしら」

「どうぞ、どうぞ……。長久保夫人がもし、そいつは困る、と言いさえしなければ……」