Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate

Aozora Bunko

それが近頃は、誰もそんなことを努めなくなつて来たんじやないか? それでも、真喜なんか、内と外とを区別してるところは感心なもんだ」

彼は、いくぶん多津の興奮をおさえるつもりでそんなことを言つたが、自分ながら、お座なりの、俗つぽい意見だと思つた。

ちようどそこへ、真喜が陽気な歌を口吟みながら、二階へあがつて来た。

「姉さん、いやだわ、早くお食事の支度してくれなきや……遅れちやうじやないの」

「わかつてるわよ。もうあらかたできてるのよ。母さんが帰つて来るのを待つてるんだわ」

「あたし、そんなの、待つてられないわ。母さん、どこへ行つたの?」

「マーケットへほしいもんがあつて行つたのよ。だけど、あんた、そんなに急ぐなら、できてるおかずで、すましていらつしやいよ」

「だから、それ、出してよ。あたしにやわからないわ」

二人は階下へ降りて行つた。

京野等志は、なるほど多津のいうとおり、真喜の態度がすこしおかしいと思つた。帰つている自分にはなんの挨拶もしないで、いきなり、姉にがみがみ喰つてかゝる様子は、なにかに気をとられているにしろ、普通の状態ではないように思われた。そういえば、これは、今はじめてそれと気がついたことで、平生の真喜にはこんなところは露ほども感じられなかつた。