Classici giapponesi con furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate
どうぞ、あとは、ゆつくり、文学の話でも、恋愛の話でもなさいまし。多津、おれはちよつと出て来る。四五日、帰らないかも知れないから、飯の用意はしなくつていゝよ」
高円寺駅で省線を降りて、彼は、戦災後一変したこの郊外のバラック街を、その昔、通りなれた道を探し探し、北東へ進んだ。引揚げの日、東京へ着いて、中野から線路伝いに、焼け残つた一郭の住宅地へ辿りついた時、彼はほとんど無意識に、味岡小萩の家を探し求めていたことを想い出した。
その時に、たしかに「味岡」という標札を見届けておいたので、今日は、なんの不安もなく、その家の門を潜ることかできたのである。
「お忘れになりましたか? 僕、京野です。京野等志です」
そこへ出て来た老婦人は、小萩の母で、うつかりすると、こつちも間誤つくくらいに、老けこんでいた。
「まあ京野さん……これは、これは……。いつお帰りになりました?」
この老婦人は、彼に、あがれとも言わず、復員兵に対する月並な挨拶の言葉をならべたてた。
「皆さんもお元気ですか? ご主人は……?」という問いに、
「主人は、昨年からずつと、中風の気味で、臥せつておりますんです。