Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate

Aozora Bunko

ものだつた、と、しみじみ語つたことである。

「あたしたちの仲間には、それや、いろんな意地や見栄つてもんもなくはないけど、小菊ちやんぐらい、その点、あつさりしてたひとはないの。たゞ、不思議なくらい、お家の方々にわらわれたくない、それみろつて言われたくないつて気持を強くもつていたようだわ。お父さまもいゝ方、お母さまもやさしい方、ごきようだいも、みんなよくできた方だつて、いつも、それや、ご自慢なの。それだけに、自分のしたことが、みなさんには、向う見ずで、ふしだらのようにとられるのは、あたり前だつて……。だから、せめて、結果だけでも、立派に一人の男を守りとおして、お家の方々に、『まあ、まあ、それなら』といつてもらいたい、小菊ちやんの言つたとおりを言うんですけど、そう言いとおしてましたわ」

京野等志は、妹美佐が、口先だけでそんなことを言うはずはないと思つた。たとえ、すこしの誇張や、自己陶酔のようなものはあつたとしても、そういう気持がまつたくないとはいえぬ証拠は、彼女が自殺の決意をした時、第一に、家のものゝ顔が目に浮んだからこそ、自分にあてゝ、あの切々たる遺書を書いたのである。