Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate

Aozora Bunko

と、京野等志は、ことによればそうしてもよいと思いながら、言つた。

「送つてちようだい、つて言いたいところだけど、まあ、やめとくわ。じや、おやすみなさい」

「どうも、うまい挨拶ができなくつて困るが、ともかく、送りません。気をつけてお帰りなさい。タクシイがあるでしよう」

自分ながら、しどろもどろなのに気がついて、彼は、苦笑した。

家へ帰りついたのは、十一時過ぎであつたが、今日の結果をみなに話そうと、茶の間へどつかりと坐つたとたん、妹の多津が、一通の速達便を彼の前に差し出した。

思いもかけぬ小萩からの便りであつた。

今までは抑えに抑えておりましたけれど、もうこれ以上ご無沙汰をつゞけては、自分をいつわることになりますので、思いきつて、ひと筆お便り申しあげます。

いつぞやいたゞきましたお手紙、うれしくまた、せつなく拝見いたしました。

そのうえ、二度までも療養所へお越しくださいましたこと、後で、附添いの看護婦さんや主人から承わり、ほんとうに、どうしたらいゝかと思いました。

しかし、その時までは、まだ、直接、お礼など申しあげるべきではないと、固く心にきめておりました。わたくしの立場がそれをゆるさぬと信じておりましたから。