Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate

Aozora Bunko

もう、その時はおしまいだと思つたわ。だつて、あんな爆発はじめてなんですもの。やつと、浅間だとわかつて、みんな、外へ飛び出してみたの。明け方でしよう、最初の時は。白んだ空に、あの山の輪郭がくつきりと浮んでみえたとたん、頂上から噴きあげた煙が、古綿を丸めたようなかつこうで、末ひろがりにひろがりながら、頭の上へかぶさつて来てるの。それや、気味がわるいつたらないのよ。実際にみたものでないと、あん時のすさまじい感じはわからないわ」

「なるほど、それやわからんでしよう。僕だつて、新聞は読んでるけれど、まるで見当はつかないもの。あなたのところなんぞ、まつたく関係はないと思つてた。しかし、まあ、危険つていう点じや、別にどうつてこともないんじやないの、浅間のちよつとした噴火ぐらい……」

「いつでも、ちよつとした噴火ですめばいゝけどさ。天明の大爆発みたいなことがないとも限らないわ。鬼押出し、まだ、ご存じない?」

「知らない。天明とは、よく歴史をしらべたもんだな」

「みんなが言うから知つてるのよ」

火山の近い地方では、火山の話題が一種のお国自慢みたいなものであることは、彼も知らぬわけではなかつた。