Classici giapponesi con furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate
「こゝで冬越しをするわけにもいかんでしよう」
と、彼は、張り合うように言つた。
コタツ板の上に、向い合つておかれた膳を、彼女はわざとわきにずらして、彼の右横へ視線を外すように坐つた。
「顔みられるの恥かしいから……」
そう言いながら、肩さきを彼の方に近づけて、顔をそむけるように伏せた。それは一種の媚態にはちがいなかつたが、露ほどもわざとらしいところはなく、彼が、
「さあ、そんなこと言つてないで、早く飯にしよう」
と、せきたてるのを、軽く「はい」と受けて顔をあげ、箸をとつた。
「おつゆ、冷めちやつたわ。あつたかいのと替えてもらいましようか」
「宿屋で、そんな贅沢言えるのかい?」
「かまうもんですか、ちよつとそう言うわ」
彼女は、つと起ちあがつて、呼鈴を押した。
運よく、望みどおりの熱い味噌汁が運ばれて来た。
京野等志は、こういう小萩の一面を、もの珍しく、また、いくぶん、たのもしく打ち眺めていた。
食事が終つて、膳が引かれたあと、二人はそのまゝじつとしていた。さしあたり、何もすることのないからだをもてあますように、それぞれ、腰をおちつけているにすぎなかつたけれども、京野等志は、運命の予測しがたい結果を前にして、たゞ、夢のような幸福感に酔う一方、まだなにか、自分自身を信じることができないような、漠とした不安に耳をすまさ