Classici giapponesi con furigana
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ひかりはかげを
光は影を
岸田 国士
Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate
彼はもうじつとしてはいられなかつた。結果を考えてみる余裕もなかつた。彼は、自分の眼で、彼女の眼をじかに読んでみたかつた。
早い朝食をすますと、彼は、百瀬秀人を促して長久保家までの道案内をさせた。
「なんでも、細君の実家では、戦争中、娘を大きな百姓へかたずけておけば、どんなことになつても、なにかと都合もいいし、先々、安心だつていう腹があつたらしい。ちよつと都会人の考えそうなこつた。それに、当の相手は、あれでも高等農林を出とるしなあ、普通の百姓よりや、ちつたあ見どころがあつたんずら。しかし、来てみて、話と違うこと、話ばかりじやわからんことが、ずいぶんあるでなあ。それに、なんでも、近頃は、細君の実家と仲たがいをしとる風だよ」
「長久保家とか?」
「うん、それが原因だろうが、細君も実家とまずくなつとるちゆう話だ」
水田の多いこの地方では、麦作をする以外の田には、肥料用のれんげが蒔きつけてあり、花にはまだ早いけれども、やわらかな薄緑の葉がもう地面をおおい、道ばたの細い流れは朝の光を吸つてかすかな瀬の音を立てゝいる。澄み渡つた空から、大きな弧を描いて舞い降り、チヽと鳴いて、また、素早く舞いたつ幾羽かの小鳥は、春のおとずれをつげるひばりでもあろうか。