Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ひかりはかげを

光は影を

岸田 国士

Leggi 光は影を (ひかりはかげを) di 岸田 国士 (きしだくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 138.262 caratteri · 276 schermate

Aozora Bunko

「ご飯はまだ?」

母がたずねるのに返事もせず、深志は、いきなり父の方へ、立ちはだかつたまゝ声をかけた。

「僕、あしたから、この家を出て、下宿します」

一同の視線が彼の上に集り、それから、互いに顔を見合わし、息をのんだ。

「まあ、坐つて話をせえ。いきなりそんなこと言つたつてわからん」

「別にそれ以上言うことはないんです」

「そつちはないかも知れんが、こつちできゝたいことがある。坐れと言つたら坐れ」

深志は、そこへ、しぶしぶあぐらをかいた。

「なんですか、僕にきゝたいことつて?」

「どうしたつていうの、あんた、そんなむずかしい顔して……。なんのことだか、もつと穏かにお話したらどうなの」

と、母も見かねて口を出した。

「お母さんは黙つててください。とにかく、このことは、お父さんの諒解さえ得ればいゝんです。無断家出ということにならなきやいゝんです」

「まあ、それはそれでいゝ。どうしてこの家を出たいのか、その理由を言うわけにいかんか」

父は、気を取り直したらしく、努めて平静を装つていた。

「…………」

相手は黙つている。いつまでも黙つている。重苦しい一瞬であつた。

「理由は、そんならきくまい。