Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ほうがんさぶろうのしょうたい

判官三郎の正体

野村 胡堂

Leggi 判官三郎の正体 (ほうがんさぶろうのしょうたい) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.587 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

「どうしたのだ」

「ナニ何んでも御座いません、多分何んでもないだろうと思いますが……二三日前の事、私の手帳が見えなくなって、心当りの場所を半日探して居ると、庭に落ちて居ましたといって、お鶴が返してくれた事があります」

「それで?」

「私はその日一日調べ物の仕事が忙しくて、庭へは一度も出ませんでした。不思議な事があるものだと思って居りましたが、……後で気が付いて見ると、その手帳に書いて置いた、金庫の合言葉が、一枚そっくりムシリ取られてありましたようで……」

「何? 何んでもない事があるものか、お鶴を呼べ!」

「お父様、あの娘は不思議ですよ、毎朝お掃除の時というと、この金庫の錠前を、長い事いじって居るのです。山出しで金庫が珍らしいからだろうとばかり思って居りましたが……」

「よしもう判った、お鶴に金庫を開ける智恵があるわけはない、お鶴を手先に使って、中から設計図を取り出した奴があるに相違ない」

ジロリと見渡した男爵の眼は、深山茂の深沈な顔にピタリと釘付けになりました。

大事な大事な一人娘、望まばどんな高い身分の若殿も、婿なり養子なりに迎えられるだろうと言われた才色兼備の見本のような英子嬢を犠牲にして、この素性も知れぬ若い教授を囚えようとしたのは、盗まれた設計図が手に入れ度い為ばかりでは無かったでしょうか。