Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ほうがんさぶろうのしょうたい

判官三郎の正体

野村 胡堂

Leggi 判官三郎の正体 (ほうがんさぶろうのしょうたい) di 野村 胡堂 (のむらこどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 12.587 caratteri · 25 schermate

Aozora Bunko

五

英子嬢は、あられもない事を申します。

「アッ、あれは?」

誰やらが頓狂な声を出します。

振り仰ぐと、鉄格子で堅めた大窓の上の、空気抜の小窓が半分開いて、この硝子へチョークで、

判官三郎

と麗々しく四文字、ここから入りましたと言わぬばかりに認めてあります。

「アッ」

「判官三郎だ」

「これは容易じゃない」

驚きとも感歎とも付かぬ声が口々に爆発します。斯うなってはもう、判官三郎の讃美どころではありません。

五

「アレー、助けて!」

お鶴は必死と争いましたが、大の男二三人に担ぎ上げられて、屋上庭園の砂利の上へ、ドタリと投り出されてしまいました。

「サア、ブルをお出し、この娘はお猿を友達にして育った相で、不思議に犬を怖がるから」

英子の美しい顔には、残虐な微笑がスーッと走ります。

「よし来た」

二本の鎖で押えて居る、ハズミ切ったブルドック、白黒斑で小牛ほどある逸物です、それを面白半分で書生達が放すと、英子が自分で、屋上庭園に通ずる厳丈な扉を開けて、

「サアお鶴、暫らくブルと一緒にお出、その犬ははずみ切って居るから、どんな事をするかも知れないよ、それが嫌なら、誰れが金庫を開けたか、設計図をどうしたか、それを打ち明けてお言い、わかったかい。