Classici giapponesi con furigana
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けんきょうじゅなん
剣侠受難
国枝 史郎
Leggi 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.479 caratteri · 394 schermate
降り来る火の粉、渦巻く煙り、それを開いて異風天狗、武器蔵の方へひた走る。敵はおおかた散ったらしい。切り込んでくる者もない。
屋敷をめぐると一個の建物、ここばかりは燃えていない。すなわち本陣武器蔵である。
床上に横たわった杉窪の銅兵衛、胸の繃帯唐紅だ。
走り込んだ紀州頼宣、天狗の面をかなぐりすてると、
「銅兵衛!」と呼んで頭をかかえた。「気を確かに! 頼宣であるぞ!」
銅兵衛かすかに眼をあけたが、
「おっ、お館様……もったい至極! ……殿、殿、姫君を奪われました! ……申し訳……申し訳……ござりませぬ」眼を閉じガックリ項垂れたが、譫言のようにつぶやいたのは、「取られた……取られた……二本の巻軸……まだ大丈夫だ、しっかりたのむ……将右衛門どん、しっかりたのむ!」
将右衛門どん、とは何だろう? しかし鉄砲にあたって以来、絶えず叫んでいる言葉であって、君尾を取り返しに追っかけて行った、広太郎もこの言葉を聞いていた。
ふたたび眼を開かぬ杉窪銅兵衛、そのまま息が絶えてしまった。
ちょうどこの頃のことである。杉窪盆地から西南の山路、ふもとへ下れば草加宿となる。そのウネウネとした山路を、杉窪の方へ上ってゆく、一個不思議な人物があった。