Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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けんきょうじゅなん

剣侠受難

国枝 史郎

Leggi 剣侠受難 (けんきょうじゅなん) di 国枝 史郎 (くにえだしろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 195.479 caratteri · 394 schermate

Aozora Bunko

その広太郎この頃中、一層調子が狂って来た。笑うかと思うとしょげ込んでしまい、しゃべるかと思うとだまり込む。すなわち快活と憂鬱とが、はげしく交叉するのである。恋だ恋だ恋をしているのだ。さて広太郎ある夜のこと、悪友どもと例によって、一杯飲んで夜をふかし、別れて家へ帰る途次、さしかかったのが隅田の堤。

「桜時ばかりの墨堤でもあるまい。微醺をなぶる夜の風、夏の墨堤をさまよったって、コラーという奴もあるめえじゃないか」

で、堤をあるいて行ったが、その時事件が起こったのである。「御用! 御用!」というとり方の声、河を隔てて聞こえて来た。

「これは」と思って眼をやると、対岸安宅町の方角で、飛び廻っている御用提灯! しかも五つ六つではない、二十三十乱れている。

「や、こいつは大捕り物だ!」たたずんでながめたものである。

「あッ」という悲鳴、「待て!」という声、「神妙にしろ!」とわめく声! あわいははるかに離れていたが、深夜だけにあたりさびしく、ちまたの雑音の聞こえないためか、粒だって声が聞こえてくる。

「ドブーン!」水音の響いたのは、とり方かそれともとられる方か、ともかく誰か河の中へ、飛び込んだに相違ない。