Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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よあけのつじ

夜明けの辻

山本 周五郎

Leggi 夜明けの辻 (よあけのつじ) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 42.801 caratteri · 86 schermate

Aozora Bunko

「佐和どの、まだ伊兵衛はおりますか」

「……いいえ」

「もう出立しましたか」

「はい、いまあの道を向うへ」

「そうですか」

道之進はつと低頭した。

「赦してください佐和どの、道之進はゆうべ生れかわりました。あなたにも、小母上にも合せる顔がありません。先日来のことは、ただお赦しを願うだけです……拙者はお暇をとりました。母も家も捨てました。これから伊兵衛のあとを追って、彼の草鞋の紐を結びます。生命のあるかぎり伊兵衛とともに働きます。どうか道之進の愚かな行為を赦してください」

「そのお言葉で充分でございます」

佐和も声を顫わせながら云った。

「破約のお話がありましたときも、わたくしには来栖さまの他に良人はないと決めておりました。本当に破談になったら、わたくしあなたの前で自害するつもりでいました」

「……では、赦してくれますか」

「たとえあなたがどのようなお身上になろうとも、わたくしは来栖家の妻でございます」

罪を責められるよりも、それは道之進にとって耐えがたい呵責の言葉だった……彼は低く頭を垂れややしばらく息をのんでいた。

「あなたの、いまの言葉が、道之進にとってはなによりの餞別です。