Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Leggi 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 349.705 caratteri · 678 schermate
そこへ、峠の彼方から――峠というほどではないが、関の彼方から、うたをうたって来るものがある。その歌は、何だか知らないが、うら若い娘の声で、人の無いのを見て、ひとり興に乗ってうたう、この辺ありきたりの鄙唄であるらしい。
「姉さん、おい姉さん」
松の間から見えた、里の乙女と言いつべき若い娘。ぽちゃぽちゃした面の、手拭をかぶって背には籠を背負っていたのが、峠というほどでないにしても、上下一里はある山路の中を、いい気になって、鄙唄をうたいながら来たのを、こちらから呼び止めたのは、雲をつく田山白雲でしたから、
「え!」
その当座、右の姉さんは、ぴったりと唄をやめて、棒立ちになり、同時にワナワナとふるえ出したもののようです。
「姉さん――」
娘は動きません。白雲はこちらで手招きをする。
娘は動かない。
白雲は、なお手招きをする。
娘はジリジリと足ずりをする。しかも、前へは摺らないで、うしろへ摺る。
白雲は、莞爾として、娘を迎えようとする。
しかも娘は蒼くなる。
白雲は、怖いものじゃないよ、という表情をして見せて、再び小手招きをする。
娘は、また足摺りをする。やはり、後ろへ向って、こっそり足摺りをしていたのが、やや小刻みに、二足ほど引く。