Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Leggi 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 349.705 caratteri · 678 schermate
四十三
「南無阿弥陀仏――」
の声がつなみのように湧き上る。見るもののほとんど全部といっていいほどが、下を向いたり、眼をそらしたりしたものですが、今のその長く引いた罪人のうめきの唸りだけは、聾ではない限りの腸を貫いて、生涯忘れることのできない印象を残さずにはおかないことでしょう。
それから後の、左右交互に突き出し突き抜く槍先と、一槍毎に弱りゆく罪人の唸りとを、まともに目に見、耳に留めるものはおそらく一人もなかろうと思われたのに、たった一人はありました。それはお銀様。
役目の人は知らず、こうして非人がアリャアリャと都合三十槍突いたのを矢来の側の特別席とでもいったところに立っていて、最後まで眼をはなさずに見届けていた者に、お銀様がありました。
四十三
お銀様は、土器野にて行われた味鋺の子鉄の磔刑の場面の最初から最後までを、すべて見届けた一人には相違ありませんでしたが、唯一人とは言えませんでした。見物の大多数の中には、お銀様同様に、ほとんど目ばたきもせずして、この三十槍の残らずを見届けたものが、役向一同のほかに、まだ確かに一人、存在していました。そのお銀様以外の一人というのが、年魚市の巻から姿を現わして、岡崎藩を名乗った梶川与之助という振袖姿の美少年でありました。