Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠13

中里 介山

Leggi 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 349.705 caratteri · 678 schermate

Aozora Bunko

これはあけすけに言ってしまった方がわかり易い、お蘭さんはこうして、客分になっている宇津木兵馬を口説きに行くのです。口説きに行くというのが穏かでなければ、からかいに行くとでも言いましょう。

お蘭さんが兵馬に気のあるのは昨日や今日ではない。もっと突きつめて言えば、淫婦というものが持っている先天の血潮が、眼の前に写る年頃のものを、すべて只では置かないという本能がさせるのでしょう。時にここのお代官殿を中に、今の屋敷の近頃の空気そのものが、またお蘭さんの行動に油を注ぐように出来ている。

案の定――兵馬の客となっている部屋の外、それは先日の晩、がんりきの百が立ち迷ったと同じところ、そこまで来てお蘭の方は、障子の桟へ手をかけながら、そっと内の寝息をうかがったものです。

「宇津木さん」

ほんとうに魅惑的なささやき。

中では返事がない。

「兵馬さん」

甘ったるい、なまめいた小声。

でも返事がない。

「入ってもよくって?」

コトコトと二つばかり、障子を極めて軽やかに叩きました。

でもやっぱり手答えがない。

「入りますよ」

障子をスラリと細目にあけて、まだ侵入はしないで中をそっと覗き込んだものです。