Classici giapponesi con furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠13
中里 介山
Leggi 大菩薩峠13 (だいぼさつとうげ) di 中里 介山 (なかざとかいざん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 349.705 caratteri · 678 schermate
あの修羅の巷の人と人との殺し合いも、この底知れない血の池の深さも、もとはといえば、その隣りの人に示す人間の誇りが、芽ばえでないということはございません。一人に誇る優越が、万人の羨みとなり、嫉みとなる時に、早や千業万悪の種が蒔かれたのでございます」
「いったい、人間が多過ぎるのだ」
竜之助がやや荒っぽく言いました。
その時またもや、山の峡と、山脚とから、
「でんぶ」
「でんぶ」
「でんぶ」
「でんぶ」
波の音だけが起りはじめました。
途端に、弁信も、竜之助も、あっ! と言って湖面を見たのは、千尋の断崖の一方から、今しこの湖水をめがけて、ざんぶと飛び込んだ者があります。
申すまでもなくそれは女で、あざやかな帯と着物だけが空中に舞い、肉体は血の池深く落ち込んで、漣をただよわせると見れば、竜之助の夢もそれで破れました。
すべてが消えて、人里で鶏の啼く音がする、と思うと、竜之助は自分の唇に焼けつくような熱を感じ、夢に見たすべては消えたのに、血の池に浮ぶ生温かいお供餅が、海月のようになってこの室に迷い込み、臼の如く我を圧迫するのを感じ、
「人間が多過ぎるのだ」
いくら殺しても、斬って捨てても、あとからあとから生きうごめいて来る人間に対する憎悪心が、潮のようにこみ上げて来るのを押えることができません。