Classici giapponesi con furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Leggi 探偵夜話 (たんていやわ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 140.363 caratteri · 277 schermate
判官びいきの人たちはその反動から競争者の富子を憎んだ。雛吉が俄かに天性の美音を失ったのは、富子が水銀剤を飲ませたのであると言い触らすものもあった。富子が自分の弟子に言い付けて、かの宴会の余興の楽屋で雛吉の湯呑茶碗に水銀剤をついだのであると、見てきたように講釈する者がだんだんに殖えて来た。勿論それには取り留めた証拠があるのではなかったが、その噂は雛吉がまだ東京にいる時から広まっていたので、その耳にもはいっていた。
「富子さんだって真逆そんなことをしやしないでしょう。万一そうであったとしても、証拠のないことですから仕方がありません。つまりはわたしの運がないのですから。」
雛吉はこう言ったように世間では伝えていた。しかしそれも確かに本人の口から出たのかどうか判らなかった。彼女が芸人をやめて故郷へ帰ったのは十九の秋で、その後に土地の料理屋の養女に貰われたとかいう噂が東京へもきこえたが、去るものは日々にうとしで、足かけ六年の時の流れは世間の人の記憶から竹本雛吉の名を洗い去って、今ではそんな不運な女芸人が曽て東京の人気を湧き立たせたことを思い出す人さえも少なくなった。