Classici giapponesi con furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Leggi 探偵夜話 (たんていやわ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 140.363 caratteri · 277 schermate
一
一
遼陽陥落の報知は無論に歓喜の声をもって日本じゅうに迎えられたが、殊に師団の所在地であるだけに、ここの気分はさらに一層の歓喜と誇りとをもって満たされた。盛大な提灯行列が三日にわたって行なわれて、佐山君の店の人達も疲れ切ってしまうほどに毎晩提灯をふって歩きつづけた。声のかれるほどに万歳を叫びつづけた。そのおびただしい疲労のなかにも、会社の仕事はますます繁劇を加えるばかりで、佐山君らはほとんど不眠不休というありさまで働かされた。
けさも朝から軍需品の材料をあつめるために、町から四里ほども距れている近在を自転車で駈けずりまわって、日の暮れる頃に帰って来ると、もう半道ばかりで町の入口に行き着くというところで、自転車に故障ができた。田舎道をむやみに駈け通したせいであろうと思ったが、途中に修繕を加える所はないので、佐山君はよんどころなしにその自転車を引き摺りながら歩き出した。この頃の朝夕はめっきりと秋らしくなって、佐山君がくたびれ足をひきながらたどって来る川べりには、ほの白い蘆の穂が夕風になびいていた。佐山君は柳の立木に自転車をよせかけて、巻煙草をすいつけた。