Classici giapponesi con furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Leggi 探偵夜話 (たんていやわ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 140.363 caratteri · 277 schermate
二
僕は前にその名を地蔵尼といったが、ほんとうの名は無蔵尼というのだそうである。生まれは京都だとか聞いているが、その優しい音声に幾らかの京なまりをとどめているだけで、ふだんの言葉には上方弁らしい点もなかった。若いときから諸国の寺々を修行してあるいたと本人自身も言っていたが、ほんとうの年は幾つだか誰も知らない。本人も人に話したことはなかったが、もう三十ぐらいであろうと僕の祖母は推測していた。しかしその推測の年よりも若くみえるので、僕の母などはまだ廿五六ではないかとも言っていた。
かの尼が年よりも若く見えるというのは、その容貌がいかにも、若々しいからであったろう。大抵の尼僧は痩せ枯れて蒼白い人が多いのであるが、地蔵尼は大柄でこそなけれ肉付きは決して貧しくなかった。もちろん肉食などをする筈はないのであるが、白い顔に薄い紅味を帯びて、見るから色艶のいい、頬の肉の豊かな、ちっとも俗人と変わらないみずみずしい風を具えているのが、村の若い者の注意をひいた。
「あれが尼さんでなければなあ。」
こんなことを言う不埒な奴もあった。その不埒な若者の二、三人がある晩酒に酔った勢いで、尼のところへからかいにいくと、尼は堂の扉をかたく鎖ざして入れなかった。