Classici giapponesi con furigana
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たんていやわ
探偵夜話
岡本 綺堂
Leggi 探偵夜話 (たんていやわ) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 140.363 caratteri · 277 schermate
」
だしぬけに大きい声がきこえたので、僕は夢から醒めたようにその声のする方へ眼をやると、そこには五、六人の漁師があつまっていた。子供達もまじって珍らしそうに立ち騒いでいた。なにか大きい魚でも寄ったのであろうかと、僕も少し早足にそこへ行って見ると、なるほどみんなの騒ぐのも無理はなかった。僕も生まれてから一度も見たことのない不思議な魚が、うす黒い砂の上に大きい腹を横たえていた。
魚は鮪にやや似たもので、長さは二間以上もあろう。背ひれは剣のようにとがって、見るから獰悪の相をそなえた魚である。その著るしい特徴は、象牙のように長いくちばしをもっていることで、そのくちばしは中途から折れていた。左の眼は突き破られていた。
「なんという魚です。」と、僕は訊いた。
「さあ、鮪でねえ、鮫でもねえ。まあ刺魚の仲間かも知れませんよ。」
漁師たちにもこの奇怪な魚の正体が判らないらしかった。この噂を聞きつけて、大勢の人達がゆうべのように駈け集まって来たが、誰もこの魚の名を知っている者はなかった。そのうちに僕はふと思い付いたことがあった。それはこの奇怪な大きい魚のくちばしがあの水沢のステッキによく似ていることで、アメリカから持って来たというあの珍らしいステッキは、この魚のくちばしで作ったものではあるまいか。