Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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「しなゆうき」

支那游記

芥川 竜之介

Leggi 支那游記 (「しなゆうき」) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.859 caratteri · 105 schermate

Aozora Bunko

そんな事もいろいろ考えて見たが、頭は益ふらついて来る。胸のむかつくのも癒りそうじゃない。とうとうしまいにはワグネルなぞは、犬にでも食われろと云う気になった。

十分ばかり経った後、寝床に横になった私の耳には、食卓の皿やナイフなぞが一度に床へ落ちる音が聞えた。しかし私は強情に、胃の中の物が出そうになるのを抑えつけるのに苦心していた。この際これだけの勇気が出たのは、事によると船酔いに罹ったのは、私一人じゃないかと云う懸念があったおかげである。虚栄心なぞと云うものも、こう云う時には思いの外、武士道の代用を勤めるらしい。

処が翌朝になって見ると、少くとも一等船客だけは、いずれも船に酔った結果、唯一人の亜米利加人の外は、食堂へも出ずにしまったそうである。が、その非凡なる亜米利加人だけは、食後も独り船のサロンに、タイプライタアを叩いていたそうである。私はその話を聞かされると、急に心もちが陽気になった。同時にその又亜米利加人が、怪物のような気がし出した。実際あんなしけに遇っても、泰然自若としているなぞは、人間以上の離れ業である。或はあの亜米利加人も、体格検査をやって見たら、歯が三十九枚あるとか、小さな尻尾が生えているとか、意外な事実が見つかるかも知れない。