Classici giapponesi con furigana
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「しなゆうき」
支那游記
Leggi 支那游記 (「しなゆうき」) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.859 caratteri · 105 schermate
鄭垂氏は日本語に堪能だから、氏と話をする場合は、波多村田両先生の通訳を煩わす必要はない。
鄭孝胥氏が我々の前に、背の高い姿を現わしたのは、それから間もなくの事だった。氏は一見した所、老人に似合わず血色が好い。眼も殆青年のように、朗な光を帯びている。殊に胸を反らせた態度や、盛な手真似を交える工合は、鄭垂氏よりも反って若々しい。それが黒い馬掛児に、心もち藍の調子が勝った、薄鼠の大掛児を着ている所は、さすがは当年の才人だけに、如何にも気が利いた風采である。いや、閑日月に富んだ今さえ、こう溌剌としているようじゃ、康有為氏を中心とした、芝居のような戊戌の変に、花々しい役割を演じた頃には、どの位才気煥発だったか、想像する事も難くはない。
氏を加えた我々は、少時支那問題を談じ合った。勿論私も臆面なしに、新借款団の成立以後、日本に対する支那の輿論はとか何とか、柄にもない事を弁じ立てた。――と云うと甚不真面目らしいが、その時は何も出たらめに、そんな事を饒舌っていたのではない。私自身では大真面目に、自説を披露していたのである。が、今になって考えて見ると、どうもその時の私は、多少正気ではなかったらしい。