Classici giapponesi con furigana
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「しなゆうき」
支那游記
Leggi 支那游記 (「しなゆうき」) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.859 caratteri · 105 schermate
ボイに案内されて通りしは素壁に石刷の掛物をぶら下げ、床にアンペラを敷ける庁堂なり。ちょっと南京虫はいそうなれど、蕭散愛すべき庁堂と言うべし。
待つこと一分ならざるに眼光烱々たる老人あり。闥を排して入り来り、英語にて「よく来た、まあ坐れ」と言う。勿論辜鴻銘先生なり。胡麻塩の辮髪、白の大掛児、顔は鼻の寸法短かければ、何処か大いなる蝙蝠に似たり。先生の僕と談ずるや、テエブルの上に数枚の藁半紙を置き、手は鉛筆を動かしてさっさと漢字を書きながら、口はのべつ幕なしに英吉利語をしゃべる。僕の如く耳の怪しきものにはまことに便利なる会話法なり。
先生、南は福建に生れ、西は蘇格蘭のエディンバラに学び、東は日本の婦人を娶り、北は北京に住するを以て東西南北の人と号す。英語は勿論、独逸語も仏蘭西語も出来るよし。されどヤング・チャイニィイズと異り、西洋の文明を買い冠らず。基督教、共和政体、機械万能などを罵る次手に、僕の支那服を着たるを見て、「洋服を着ないのは感心だ。只憾むらくは辮髪がない。」と言う。先生と談ずること三十分、忽ち八九歳の少女あり。羞かしそうに庁堂へ入り来る。蓋し先生のお嬢さんなり。