Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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「しなゆうき」

支那游記

芥川 竜之介

Leggi 支那游記 (「しなゆうき」) di Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 51.859 caratteri · 105 schermate

Aozora Bunko

扨煉瓦造りの玄関をはいれば、土間に並べたる腰掛に雑然と看客の坐れることはこの劇場も他と同様なり。否、昨日梅蘭芳や楊小楼を見たる東安市場の吉祥茶園は勿論、一昨日余叔岩や尚小雲を見たる前門外の三慶園よりも一層じじむさき位ならん。この人ごみの後を通り、二階桟敷に上らんとすれば、酔顔たる老人あり。鼈甲の簪に辮髪を巻き、芭蕉扇を手にして徘徊するを見る。波多野君、僕に耳語して曰、「あの老爺が樊半山ですよ。」と。僕は忽ち敬意を生じ、梯子段の中途に佇みたるまま、この老詩人を見守ること多時。恐らくは当年の酔李白も――などと考えし所を見れば、文学青年的感情は少くとも未だ国際的には幾分か僕にも残りおるなるべし。

二階桟敷には僕等よりも先に、疎髯を蓄え、詰め襟の洋服を着たる辻聴花先生あり。先生が劇通中の劇通たるは支那の役者にも先生を拝して父と做すもの多きを見て知るべし。揚州の塩務官高洲太吉氏は外国人にして揚州に官たるもの、前にマルコ・ポオロあり、後に高洲太吉ありと大いに気焔を吐きいたれど、外国人にして北京に劇通たるものは前にも後にも聴花散人一人に止めを刺さざるべからず。