Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しん・へいけものがたり

新・平家物語

吉川 英治

Leggi 新・平家物語 (しん・へいけものがたり) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 123.012 caratteri · 245 schermate

Aozora Bunko

と、仰っしゃった。御微笑だけで、ほかのことには、何も、お触れにならずに。

忠盛は、お心の深さに打たれ、どうお答えしたかも知らずに、退がってしまった。(仰せに、あまえて……)というような意味をいったとは覚えている。それと、上皇が(――そちも、宿の妻には、不運な男よの)といわれた御一語が、いつまでも、耳の底にあった。(そちも――)といわれた「も」が、忠盛には、上皇の肺腑を破った血の音のように聞こえたのである。「……も」とは、御自身をふくめて使われたお言葉ではあるまいか。

ではその「わが身もだが、そちも」といわれた上皇のお胸は、いったい、何を語っておられたのであろう。

忠盛には、わかっていた。――思いそこにいたると、さんぜんと、涙なきを得ないのであった。

上皇が、鳥羽天皇として、なお御在位のうち。中宮は、いまの待賢門院、藤原璋子であった。

璋子は、人も知る白河法皇の猶子で、祖父法皇のおはからいで、天皇に配された后であることは、さきに誌した通りである。

当時、天皇は、おん年わずか十五。

しかも璋子は、二つ上の、十七であった。

美貌をほこる璋子の背後には、長いあいだの摂関家政治をも一挙に打破して、新しい院政の樹立を断行したほどな、白河法皇の威光もある。