Classici giapponesi con furigana
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きゅうしゅじん
旧主人・芽生
島崎 藤村
Leggi 旧主人・芽生 (きゅうしゅじん) di 島崎 藤村 (しまざきとうそん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 149.813 caratteri · 302 schermate
まあ聞いてくれ給え」
と前置をして、話出したのはこうでした。
お隅の父親(おやじ)がこの男と同じ書記仲間で大屋の登記役場に勤めている時分――お隅も大屋へ来て、唯有(とあ)る家に奉公していました。根が働好な女で、子供の世話、台所の仕事、そりゃあもう何から何まで引受けて、身を粉にして勤めましたから、さあ界隈(かいわい)でも評判。お隅が遠い井戸から汲々(せっせ)と水を担いで通るところを見掛けた者は、誰一人褒(ほ)めないものが無い位。主人の家というのは少許(すこし)引込んだ処に在って、鉄道の踏切を通らねば、町へ買物に出ることが出来ないのでした。お隅はよく主人の子供を負(おぶ)って、その踏切を往たり来たりした。丁度、そこに線路番人が見張をして佇立(たたず)んでいて、お隅の通る度(たび)に言葉を掛ける。終(しまい)には、お隅の見えるのを楽みにして待っている、という風になりましたのです。ある日のこと、番人が休暇で自分の家の前に立っていると、そこをお隅は子供を負(おぶ)いながら通りました。お隅は無理やりに呼込まれて――その番人というのは、すばらしい力のある奴ですから、さんざんに嚇(おど)かされたり賺(すか)されたりして――それから気がついて見ると、いつの間にかお隅の身体は番人の腕の中に在ったとか言うことで。