Classici giapponesi con furigana
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Leggi 松のや露八 (まつのやろはち) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 125.597 caratteri · 253 schermate
半坊主の顔に、笑靨が泛いている。
「こらッ!」
思わず、剃刀の柄で、頭を撲った。
半坊主は、首をすくめた。そして神妙な顔を作っていた。
「これでよしっ」
鉄之丞は、縄を解いてやった。
そして、空俵でも捨てるように、庄次郎の襟がみを抓んで、
「どこへでも出て失せいっ」
裏庭から、藪道へと、突き出した。鋭いほど深い情けの声だった。
「あっ……」
庄次郎は、泥のついた掌を眺めた。それを着物でこすって、頭を撫でると、つるりとすべる。初秋の味がする。にわかに、うす寒いような……と思った。
早速、やぶ蚊が、一匹とまる。
頭の蚊をたたきながら、垣に添って、とぼとぼ歩きだした。生まれた屋敷を思うと、さすがに、惜別がふかい。
「おや?」
ふと、見ると、弟の八十三郎の書斎に二つの人影が、蝋燭をもって、何か、ごぞごそ掻き廻している。
父は、そんなところでないし、二人とも見馴れない男である。大小の鞘が、獣の尻尾みたいに障子に映っている。ゆらゆらと、蝋燭の灯と一緒に、影法師も、気味わるくうごくのだった。
(はてな?)
咄嗟に、彼は、大きな声を発して、今去った庭の方へ、呶鳴った。
「弟っ! 泥棒だぞッ、おまえの部屋に、泥棒が入ッているぞっ」