Classici giapponesi con furigana
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Leggi 松のや露八 (まつのやろはち) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 125.597 caratteri · 253 schermate
妓は、丹波の篠山生まれだという。顔が痩せているくせに、手が大きい。色恋ではつきあえないが、不愍をかけるというものは、やはり遊びの場合にでも、いくらか良心を救うらしい。
馬関で、桂がくれた金も、春日丸で五卿から頂戴した何百疋かのご下賜金も、このあわれっぽい丹波女に、みついでやろうと露八は思った。二日も、三日も、流連していた。
丹波女は、心配して、
「あんたさ、隊へ、帰るのじゃないのけ、五卿様のお行列さ、もう、よんべ、伏見街道さ発って、京都へ行かしゃったという噂だによ」
「おれに、隊なんぞ、あるもんか。千年万年帰らなくっても、文句を云ってくる奴はねえ」
「あれ、ま、この兵隊さ、嫌んだ人だ」
「正月まで、おめえの側にいてやろうじゃねえか」
「嫌だよう、こんな兵隊って、あるかまあ」
「うれしくねえのか」
「うれしくなんかねえさ。兵隊のくせして、うだうだ、おらの膝ッこばか寝ている男なんか、おら、嫌んだ気がするにな」
「じゃ、惚れた男でも」
「惚れた男なら、こんなこと、させてなど、なんでおくものずら、紅い襷させて、戦に出してやるによ」
「じゃ、俺には、惚れていないわけだな」
「あたりまえ」