Classici giapponesi con furigana
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まつのやろはち
松のや露八
吉川 英治
Leggi 松のや露八 (まつのやろはち) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 125.597 caratteri · 253 schermate
かなり、厳談を覚悟していなければならない。何せよ、大金だし、容れ物ぐるみ借りたままで、その財布すら返してないのだ。
「弱った」
手紙は、もう一通、机の上に来ている。まだ、この方がいい。板新道のお蔦からである。なにを云ってよこしたのか。
まいちど、お顔も見たし、お話も山々ありますゆえ、
明日の晩、いつぞやの水道橋まで、お越し下さいませ。
お待ちしています。(こがるる蔦)
「あ。こんな物、親父に見られたら一大事だ」
庄次郎は、顔をあかくした。そして二本の手紙を、飴捻じのように捻じッて、窓から藪へ捨ててしまった。なんの未練も、魅惑もない。
「馬鹿……。あしたの晩は、婚礼だ。俺の婚礼だ」
仰向けに、ごろりと寝る。
青春のおわかれだ。今日一日で、俺もくすぶった女房持ちの群れに入るのだ。そう思うと、庄次郎も、多少は、感傷的になるとみえる。
「どうしてだろう、婚礼なんて、少しも、楽しくないものだ……」
庄次郎は、お蔦に興味がないように、明日の花嫁にも、さっぱり期待がなかった。そして、お喜代のことばかりが頭へのぼってくる。妙に、こびりついている。あの疋田鹿の子やら、眸やら、それに、声だのが。