Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 167.285 caratteri · 330 schermate

Aozora Bunko

――いや待て、それはまずい。

六郎兵衛は危うく、自分を制止した。ここで怒ってはぶち毀しだ。こいつは威したぐらいではびくともしないだろう、あの眼つきが証拠だ。これはとうてい威しではきかない、と六郎兵衛は思った。

「その話しはまた明日のことにしよう」

「その必要はございません」

「まあいい、明日また話すとしよう」

彼は急に酔でも発したように、頭をぐらぐらさせ、風呂へでもはいって、今夜はゆっくり寝るがいいと云い、女を呼んだ。女の一人が来ると、六郎兵衛は、風呂をみてやれ、と命じた。

おみやはその女といっしょに出てゆき、そのまま新八の部屋へはいった、そこはもうすっかり暗く、新八はまだ寝ころがっており、蚊の唸りが聞えていた。

「新さん、起きてちょうだい」

おみやはそう云いながら、行燈に火をいれた。

稽古が終ったのだろう、道場のほうは静かになり、廊下の向うで、野中や島田市蔵や、尾田内記の声が聞えた。行燈がつくと、新八は眩しそうに起き直って、足を投げだしたまま、欠伸をした。

「眼をさましてちょうだい」

「眼はさめてるよ」

「お顔を洗っていらっしゃい、まじめに聞いて頂きたいことがあるんです」