Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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たなださいばんちょうのかいし

橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇

橘 外男

Leggi 橘外男ワンダーランド 怪談・心霊篇 (たなださいばんちょうのかいし) di 橘 外男 (たちばなそとお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.181 caratteri · 219 schermate

Aozora Bunko

前にもいいましたように、この年になるまで父母の溺愛を受けて、ここまで旅行に出るということは、私にとっては容易な業ではないのです。このまま東京へ帰ったら、いつまた来れるか見当も付かないのです。やっぱりみんな東京へいってしまったのか知ら? と落胆しました。

だが、来たついでだ! ようし! 今夜はこの村の役場のある水の尾村へ泊って、明日は役場へ行って、どこに住んでいるか調べてみよう。

そこでわからなかったら、明日はもう一度ここへ来て、その足で今度は大野木村へ行って、平戸から来ている開墾地の農家を訪ねて聞いてみることにしよう。それでもまだわからなかったら、一応父の許へ帰った上で、長崎の市役所なり、警察なりへ、照会状を出してみることにしよう。

そう心を決めて、陽も大分傾いてきましたから、私は初めて来た時にスパセニアから教えられた、水の尾という村へ向って歩き出しました。いつか私が岩躑躅を折りながら降りて来て、突然子牛のようなペリッに咆えられた、あの周防山に並んだ樹木のこんもり生えた、山道へ分け入っていったのです。

陽は山に遮られて、山は木が真っ暗に繁って、その下をつづら折りに登って行くのですから、涼風は面を打って、暑いことは少しもありません。